飯豊連峰 飯豊山










8月16日(日)
大又沢と桧山沢落合から派生するダイグラ尾根は、飯豊連峰屈指の長大な尾根である。桧山沢で汲みこんだ水筒を担ぎ、バカ尾根に乗れば飯豊山まで徹頭徹尾、気力と忍耐の取り組みで済し崩す以外術は無い。道すがらに、昔の思い出を見る。山頂よりの展望に打たれ、御西へと足を向け、水場でビールを冷やせば一日の仕事は終わる。
8月17日(月)
大日岳には行かず、コーヒーと四方山話を選び横着を決め込む。これから向かう稜線の左右を分ける渓谷を覗き込めば、二度と溯ることはない淋しさを知る。カイラギ小屋は交差する登山者で賑わいをみせ、管理人の関さんと暫し話しこむ。梶川尾根を下る予定は暑さに負け、一昔以来のカイラギ沢に変更し、中ノ島草付きにて地下足袋を履く昔ながらの岳人二人と行き会い、互い足元を見つめほくそえむ。ザックの底に仕舞いこんだ「カナカンジキ」は使用することなく雪渓の切れ間に下り立つ。群青に晴れ渡る門内沢出合にて水遊びに戯れれば沢心がつくも、如何せん現状の境遇が許さず不本意ながらえせ沢ヤに成り下がった。左岸に付く登山道を、チンタラと道草しながら辿るも、アブが纏わりつく温身平に着いてしまった。