飯豊連峰 飯豊山












7月6日(水)
雨はどこへいったような晴天が約束され、ついと、山に向かう。鼻をこする懺悔坂で一集団を抜き、長之助清水が咽をとおれば汲めども尽きぬ魅力の飯豊に触れる。適当な登りをこなし、白川左側に延びる岩羽国境尾根上にもっそりとわだかまる牛ガ岩山と視線が相等しくなれば騙し地蔵の東肩で、ここよりひと登り我慢すれば地蔵岳で朝飯とした。行きも帰りも山頂は踏まず、花街道故に遠慮がちに刈られた道を辿れば目洗清水の先で先日、祝瓶山を共にした若者達との出会いあり、暫しの会話で先を急ぐ。御沢には下りず種蒔山北面の雪渓を横断し切合小屋に至れば登山者がごった返していた。砂礫地から草履塚への長い雪渓歩きは地下足袋には堪えた。双耳峰の片方、北峰から急降すれば御秘所の険で、御前坂下で長い登りに腹拵えで備える。小ぶりながらヒナウスユキソウに励まされ飯豊山に到達せり。晴渡る空に展望は利き、あくことなく山々を眺めた。切合小屋にて両足の爪に痛みを覚え下山路は五段山経由を諦めざる得なく長丁場、地下足袋を履く者の宿命であろう。それでも、大日杉小屋には、帳が落ちる寸前に辿り着いた。