飯豊連峰 飯豊山





















10月23日(土)
石にさせられた姥も通ったであろう中津川参拝道はザンゲ坂で洗礼を受け、長之助清水に山の水の甘さを知る。ダマシと名の付く山はたいがい頂は踏まず肩辺りを搦むもので朝日のダマシ御影然りこのダマシ地蔵も其の通りである。あわただしく通り過ぎた登山者の行く先の尾根を追えば地下足袋を責付く。右手に本山を仰ぎ見て高度を上げれば主稜線と繋がり、僅か行けば登山者が疎らの切合小屋であった。関門の草履塚はこのコース最大の突起で恨めしいが、これより視界は広がり本山と対峙する大日岳が牛首山を従い櫛ガ峰を経て水晶尾根にスカイラインを延ばしている。白い花崗岩礫地の御前坂に今年見逃したイイデリンドウとヒナウスユキソウに思いを馳せれば、本山小屋に辿り着いた。四周総ての展望が利く稜線を闊歩すれば飯豊本山で、今年最後となろう山頂からの展望を楽しむ。降りは多くの登山者と行き交い、切合から主稜線を離れれば、ツルベ落ちに陽が落ちて暮れた。