朝日連峰 大朝日岳












9月18日(土)
日暮沢小屋からさらに根子川沿いをさかのぼり、才兵ェ滝上に架かる朝日橋の袂から歩き出す。その橋を渡れば登山道は右岸に並行につけられており、見えぬ竜門滝は瀑音で存在を知る。登山道は唐突に左に折れ、谷分レまで喘登が続く。水平道は距離を稼がせ、ハナヌキ峰を通過すればサンザノ清水で、小朝日岳に向かう励みとなる。たいして水筒も減らぬまま「キジ場の下の水は甘い」と言う説のある銀玉水で水を入れ替え、腰を据えれば、正面に急峻のヨコフッッケ沢が流れを落としていた。この沢は寡聞にして溯行記録は見当たらないが、縁ある山岳会が1ヶ月前に落としたと聞き及ぶ。ガス湧く主峰大朝日岳は視界もなく頂を踏むのみでそそくさと後にし、小屋番の方と二言、三言を交わす。中岳への途中、雑誌から抜け出したような山ガール、山ボーイに時の移りを感じつつ、中岳肩の慰霊碑に差し掛かれば、小屋番の予想通り雨が落ち始めた。断続的に降り続く雨と日差しの短さが気にかかる故に西朝日岳本峰は辞した。さらに主稜を真北に進めば御坪山辺りからガスが飛び、昔、沢を溯り辿り着いた袖朝日岳を見る。竜門山で縦走路を外れ、熊糞山、清太岩山を下れば日がとっぷりと暮れた日暮沢小屋に辿り着いた。