朝日連峰 大朝日岳











ガンガラ沢(1985・9)

7月12日(日)
朝日と飯豊の取り付きは急登から始まるのは同じ話で、日暮沢コースもまた然りである。熊の逸話が多い清太岩山、熊糞山を越えれば竜門山の主稜線へと足は届く。風強くガスの登山道を行も視界がない分これまで何度となくおとずれた朝日が走馬灯の如く見え隠れしてくる。西朝日岳を下れば荒川中俣沢を溯った者と,この域に精通した者だけが知る清水を飲む。大朝日小屋に辿り着くも展望薄いピークは割愛し小朝日岳へ向かい下れば,金玉水方向に見られるマツタケ雪渓や蛤雪渓は未だ硬雪の一塊であった。大正8年8月、大島亮吉がY字雪渓を下り寒さに震えたと山岳紀行に紹介したガンガラ沢が右脚下に深い切れ込みを見せている。小朝日岳には搦み道があり大いに助かる。サンザノ峰(古寺山)を通過しハナヌキ峰で右へ行く古寺鉱泉への道を捨て,竜門の滝経由コースで今朝には犇めいていたが,今は人の子一人いない日暮沢小屋の建つ栃平に着いた。