朝日連峰 中沢峰









焼野平の朝日軍道


5月2日(土)
「石に枕したい」と遅立ちではあるが春の広がる白兎参道を行く。立ち休みを繰り返せば道は捗らない。尾根にて薪を拾い汲んだ清水を背負えば葉山山荘へ着た。炉傍で缶詰をつっつき酒を飲むころ、すっかり夜になっていた。


5月3日(日)
熾きの煙が鼻を刺し目がさめた。アルファ米を腹に詰め山荘を出る。数年ぶりの山荘以西の朝日軍道に分け入れば単独者のトレイルを追う。大朝日岳を抜けるのであろう。羨む。焼野平の巻道は雪も着けず真の朝日軍道を見る事ができる。まだたっぷりと雪ある斜面を3、4ッ越して行けば中沢峰の頂に出た。仮称ダマシミカゲへ高度を下げるもオオドミの鞍部よりはただただたどる以外ピークを踏むすべはない。往路を戻り、もう一つの目的である仮称ホコダテノカッチへと向かう。中沢峰から祝瓶山荘への下りより大朝日岳が小さくなるにつれ祝瓶山がかぶさってくる。時期早なら、この登山道を下り切れば朝日に3本とないオオヤマザクラが咲き誇っているはずである。思い巡らせば一人ほくそ笑む。中沢峰からテン場を探して下るも葉山山荘へ着いてしまった。その夜も例の話で、酒で終わった。

5月4日(月)
鶯の囀りで眼をさますも持病の痛みでシュラフより這い出せず治まりを待つ。今日は葉山に来る人もなく山荘内はラーメンをすする音だけである。一足ごとに雪は少なくなり、やがて人里に出た。